ETAT LIBRE D'ORANGE ブランドツアーin NOSE SHOP新宿 9th.May.2019

ご挨拶
ツアーご参加のみなさまならびに
今回イベントを企画・開催してくださったNOSE SHOPのみなさまへの謝辞として…
オレンジ自由国 創設者エチエンヌ・ドゥ・スワール

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ようこそ。
私はあらためてみなさまと、第二の海外領土であるNOSE SHOPに感謝したいです。エタ リーブル ド オランジェ(オレンジ自由国)のために動いてくれた第二の海外領土、NOSE SHOPとそのスタッフのみなさまは、エタ リーブル ド オランジェの素晴らしい大使です。またみなさまもエタ リーブル ド オランジェの立派な大使です。

私はみなさまの国と文化をとても尊敬しています。私は、みなさまの文化は間違いなく、人類がこれまで思い描けた中で最も上品で洗練された文化のひとつだと思います。
そして、みなさまがエタ リーブル ド オランジェの香水を愛することができそうだということが私の誇りです。それならば私は、「私たちとは」「私たちが表現するものとは」といった、私がお伝えすることを期待されているだろうことの一部にお答えすることができます、という意味です。
だから、私はエタ リーブル ド オランジェのための目的地として日本にいることをとても誇りに思います。

 

境界線上にある小さな詩のメゾン
エタ リーブル ド オランジェ

しばしば、
「エタ リーブル ド オランジェの定義とは何ですか?エタ リーブル ド オランジェは何を言わんとしているのですか?」
と質問されます。
「とはいえ香水のメゾンでしょう?」
と言われます。そして私は言います。
「いいえ、香水のメゾンはディオールやジパンシィやゲランです。私たちは香水のメゾンではありません。きちんとしたテーマがある、詩のメゾンです」

詩は詩人であり、通訳者であり、説明をします。そして、詩人はきちんとテーマの境界線の上にいます。エタ リーブル ド オランジェは小さな詩のメゾンで、それもまた境界線の上にいます。パリのマレ地区にある私たちのブティックは角にあります。なぜなら境界線の上にいる時、そこは何でもできる場所だからです。

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境界線上の場所、そこは恋人たちの間のように衝突の場所です。恋をしている恋人たちの間には、それが男性と女性でも、二人の男性でも二人の女性でも、衝突が必要です。物事が美しい時、それは常に衝突の結果です。

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エタ リーブル ド オランジェは真面目さが笑いと出会う、独創性が大胆さと出会う衝突の小さなメゾンで、パリの衝突の場所です。

私は境界線上にいるのがとても好きです。なぜならそこは全てが始まり全てが終わる場所だからです。そこは混血の人々のための場所です。そして、混血の人々は混合の人々です。混合は、命を創造します。そしてエタ リーブル ド オランジェは大胆に肌の上で命を創造するメゾンです。

良い香水のためには、まず心を揺さぶる美しい物語が必要です。もし心が揺さぶられなかったら、そこには命も面白いものも無いでしょう。だから、私のエタ リーブル ド オランジェでの務めは、調香師たちと香水のファンのみなさまに感動をもたらしていく物語を探すことです。

 

「おや、君がかつてないほどを望むなら、人類で最もユニークな人、それはアイザックだ、アイザック・ニュートン
 EXPERIMENTUM CRUCIS

私はこの香水についての物語を語りましょう。それから、嗅いでいただきましょう。

何年か前、私は人類の歴史について全て知る賢人である老紳士と会いました。彼の名前はジョン・デルマスといい、80歳の老人でした。
私は彼に会って言いました。
「ジョン、人類の全てのことについて知っているあなたが、人類で最もユニークな人は誰だと思うのか教えてください」
続けて私は彼に言いました。
「私にアインシュタインや、シェークスピアとは言わないで、何かかつてないほどの、私が考えられない素晴らしい誰かの名前を言ってください」
すると老紳士ジョンは、星をゆっくりと眺めて私に言いました。
「おや、君がかつてないほどを望むなら、人類で最もユニークな人、それはアイザックだ、アイザック・ニュートン
それで私は言いました。
「でも、どうしてニュートンなんですか?」
しかし彼は言いました。
「なぜなら200年前、彼は万有引力を発見し、重力定数を発見し、光学の理論を発展させた」

そして、ニュートンが根拠を持っていた、特にプリズムを使った光学の虹を見るのためには200年待つ必要がありました。これらすべてをニュートンは発見していたのです。
そして
「人生の最後に」
とジョンは言いました。
「人生の最後に、ニュートンは死ぬ直前に彼が人類に向けた文書で、彼は彼の研究の丸ごとを打ち消した。そして、『Experimentum Crucis(決定実験)』というタイトルだったその文書は、決定的な実験だった」

だからそれらの決定的な実験は、実に重大で、人類の運命を変える実験です。そしてニュートンは、彼が人類にもたらした科学によって運命を変えました。

その後、私は調香師にこの物語を語りました。そしてニュートンのリンゴとバラで遊びたがっていた調香師は言いました。
「でも、もし頭の上でバラが受け取られたら?人類の運命にどんな変化があったのだろう」

従ってこれはニュートンへの美しいオマージュで、万有引力の詩です。そして、2つの体の重力は恋をしている状態を生み出します

ニュートンは人類で最もユニークな人でした、そして彼から面白いという印象を受けてオマージュするこの香水の名前は、『実験的十字架(Experimentum Crucis)』です。

謂わば、香水をつけること、それは本当の決定的な実験で、みなさまがつけるエタ リーブル ド オランジェのいかなる香水でも、みなさまは本当の決定的な実験を体験します。
そして、それが可能にする新たな出会い、それはとても美しいものです。

 

「私はゴミです。ゴミです。でも絶対に捨てられません」
 LES FLEURS DU DÉCHET - I AM TRASH

私はみなさまに21世紀の物語を語りましょう。私はみなさまにエコロジーについて話そうとしているのではありません。私はみなさまにゴミの詩について語りたいのです。

私はプラダの香水を作った偉大な調香師、ダニエラ・アンドリエを訪ねました。彼女はプラダで『インフュージョン ディリス』を作った、それはとてもとても偉大な調香師です。

私は彼女を訪ね、ゴミの物語を語りました。私はダニエラに言いました。
「私たちの業界では、捨てる物が多すぎます。捨てる物が、再び嗅覚的な意義を持つことを可能にすることはできるでしょうか。美しさを生みだせるゴミが新たに旅立とうとするのに、何かできるでしょうか。来てください、ダニエラ。残渣のゴミ箱に飛び込みましょう、そしてローズペタルの再濾過を試みましょう、シダーウッドアトラスの再濾過、グリーンタンジェリンの再濾過、そして、私たちが捨てるゴミに再び意義を与えましょう」
彼女はこの物語がとても好きでした。

なぜならば、私は、香水と詩はまた、謂わば武器でもあれることを発見したのです。それは私たちのゴミに再び意義を与え、私たちのきれいなゴミの中に大きな愛と美しさを再び見つけることができます。そして、ゴミの中に行き、そして美しさを再び生み出し、捨てられた物の旅立ちのための新しいレシピを再び生み出しました。蒸留されたバラの花弁に、シダーウッドアトラスに、リンゴに。そしてゴミに再び意義を与えました。

スローガンはこうです。
「私はゴミです。ゴミです。でも絶対に捨てられません」

私たちにはスローガンがあります。
「最も望まれる香りは、望まれないものから出来ている」

しかしこれはエコロジーではありません、なぜなら私たちのフラスコの中で、蒸留で汚染された物、それはむしろゴミの詩です。この詩が語るゴミの物語はずっと美しい。
そして、これがダニエラ・アンドリエと行った面白い仕事で、エコロジーではなくゴミの詩です。

 

「君はそれが良い香水になると思わないのか?」
 THE AFTERNOON OF A FAUN

私は、私がとても好きな他の物語を語りましょう。THE AFTERNOON OF A FAUNという名前の香水です。

20世紀にとても有名だった紳士は、偉大な芸術家でした。そしてその人生の終わり頃、私は20世紀の芸術の歴史を学ぶために彼に週1回会うつもりでした。
その老紳士は、少し陽気なのですがいつも機嫌を損ねていました。
2012年のある日、私はパリのシャトレ座のまさに上に住んでいた彼を訪問しました。そして彼はまたいつもよりさらに機嫌を損ねていました。
彼は言いました。
「君、君は何も知らない!君は100年前シャトレ座で何があったか知っているか?」
そこで私は言いました。
「いいえ、知りません」
彼は言いました。
「君は何も知らない。100年前そこにはロシアバレエ団がいた。君は私がロシアバレエ団について話すのを聞くか?」
それで私は言いました。
「いいですね、はい」
「それでは、君にとってロシアバレエ団とは何だ?」
私は言いました。
「それはニジンスキーです、素晴らしいダンサーだ」
彼は言いました。
「へえ!すでに君は知っていたか」

ディアギレフという名前の振付師とニジンスキーはダンサーでした。
そしてジェームズは言いました。
「じゃあ、ロシアバレエ団のタイトルを教えてくれ」
それで私は彼に言いました。
「『牧神の午後』があったと思う」
彼は言いました。
「君はそれが良い香水になると思わないのか?」

『牧神の午後』は、ニジンスキーのダンス、同じくステファム・マラルメの詩、同じくドビュッシーの音楽、同じくレオンバクストがデッサンした美術、その共感覚なのです。

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(バクストによるスケッチ)

そして私たちは、みなさまがつける美しいレシピの香水には、美しい物語と、最初に心を揺さぶられることが必要であると望んでいます。そして調香師と香水ファンのみなさまに可能性の断片と楽しみをもたらす、めったに訪れられることがないルートを探していくこと、これがエタ リーブル ド オランジェの仕事です。

 

思い出したのは、
祖母がその美しい詩を、とても暗くおぞましく読み聞かせる姿
 HERMANN A MES COTES ME PARAISSAIT UNE OMBRE

エタ リーブル ド オランジェは過去、現在、未来を含め、世紀を超えます。
そして私はみなさまに19世紀の話をしましょう。この香水は19世紀のロマン主義でとても有名な詩人である、ヴィクトル・ユゴーの詩のインスピレーションです。

私がフランスにいた頃、私の母と祖母は私に詩を読み聞かせてくれました。私は少し反抗的だったので、そのことは私を困らせました。私の母と祖母は特に毎日、『森の中で二人の騎手は何を考えていたのか?』というヴィクトル・ユゴーの同じ詩を、私に読み聞かせました。その詩は
「隣のエルマンは私の影のようだった」
という美しい詩節から始まります。そして、私は私の祖母が、私にこの詩をとても暗く、とてもおぞましく読んでくれたのを思い出しました。

そして、私は偉大な調香師と一緒に、私にこのロマンチックでおぞましい詩を思い出させる香水を作りました。

みなさまが現実を生きる時、みなさまはいつも絶望と希望の淵に立ちます。人生においてはいつも、一瞬、絶望またはとても憂鬱な何かの淵に立ち、そして一瞬すると、星々と光を見るのです。

そして詩の中でヴィクトル・ユゴーは、希望と絶望の間での人間の存在のコントラストを表現しました。

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この香水は、全てが湿気た森の匂いがします。

そしてこの香水は男性向けの、女性向けのという2つのジャンルを演じ、世紀を演じ、時間を演じます。この香水は21世紀と19世紀の間の時間を旅するでしょう。

 

強迫衝動だけを持つ、光の天使と堕天使
 ATTAQUER LE SOLEIL MARQUIS DE SADE

エタ リーブル ド オランジェは全てのコードを演奏し、そこは全ての混合物の地区であり、そこはファンタジーやうれしそうな戯言の楽しみの空間であり、唯一無二なものである材料の質について誠実です。
残りは破壊活動の中にあります。

そして私はまた少し、私がとても好きな他の香水の話をしたいです。その名前は『MARQUIS DE SADE』です。さあ、マルキ・ド・サドとは誰でしょう?

マルキ・ド・サドは哲学者で、ある日エタ リーブル ド オランジェのファンである彼の遠い子孫が、彼の遠い先祖であるおじいさんの思い出の香りを作るために私たちのメゾンに来ました。

マルキ・ド・サドは実在するルシファーでした。彼には人間が神々を攻撃する、太陽を攻撃するという強迫衝動だけがありました。
そこで香水の名前は『ATTAQUER LE SOLEIL』に決定しました。
マルキ・ド・サドは人道的な光をもたらすことを望みました。それは光の王子で、ルシフェリアンの王子でした。なぜならフランス語でルシファー(Lucifer)は、ラテン語で明けの明星(luxferre)で、光をもたらす誰かと言います。開けの明星(Lux(光)ferre)それは光をもたらします。マルキ・ド・サドは一種蒙昧主義として、人間に光をもたらしたい王子でした。
彼は人間が神を攻撃することを望みました。太陽を攻撃すること、それは神を攻撃することです。そして哲学者マルキ・ド・サドは人間により高い知能を加え、神と戦うことができるようになることを望みました。数少ない古典のヒーローは、神を超えるという使命感を持っていました。そしてマルキ・ド・サドは神を超えることを望みました。
「Attaquer le soleil, Attack the sun」それはマルキ・ド・サドの美しいフレーズです。

そしてこれもまた、光の天使と堕天使でした。そしてこれはエタ リーブル ド オランジェにとても適しています。そして彼はサディズムの起源を作りました。

 

まさに「そのように」
一人の女優をまるごと表現しつくした香り
 LIKE THIS

そして私は、みなさんの一人の女優の話をしましょう。私たちがナルニア国物語白い魔女として知る有名な女優です。
彼女の名前はティルダ・スウィントンです。ある日彼女はエタ リーブル ド オランジェに来て言いました。
「わたしはあなた方のメゾンがとても好きなので、あなた方と香水を作りたいです」
ティルダはジョージ・クルーニーブラッド・ピットと映画で共演したことでもとても有名です。

彼女は私たちの調香師たちと、謙虚に静かに1年をかけて『Like This』という名前の香水を誕生させました。

『Like This』それはまさに「そのように」と言います。彼女は赤毛の人です。それはジンジャーヘアともいいます。だからその髪と同じように、にんじんを、かぼちゃを使おうというアイデアがありました。ジンジャーを使おうというアイデアがありました。そして彼女は、ナルニア国物語のワンシーンで「私は不滅です(Je suis immortelle)」と言います。なのでイモーテルフラワーを使おうというアイデアがありました。

そのあとみなさまは、両性具有者の側面をあらわすベチバーを少し感じるでしょう。彼女ティルダ・スウィントンは両性具有者で、とても女性的で、男性的です。

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エタ リーブル ド オランジェ、そこはとても折衷的で、そこはまさに境界線上にあり、全ての人を喜んで受け入れます。

 

みなさまも「すばらしく、注目すべき、驚くべき、非凡な人々」です
 REMARKABLE PEOPLE

興奮と、生きる喜びのファンタジーがある場所から立ち去る時間です。ひとつの美しい答え、私たちは生きる喜びをもたらす香水のメゾンです。

生きる喜び、それは20世紀にとても重要だったある人にもふさわしいです。それはジョセフィン・ベーカーという名前のダンサーであり女性歌手です。

ジョセフィン・ベーカー、20世紀、彼女はとても利他的で毎日パーティーをしていました。そして彼女はとても力強く、美しく燃え上がっていました。
その、フランスで暮らすアメリカ黒人の歌手は、第二次世界大戦中本物のヒロインで、20世紀のアメリカで最も偉大な歌手のうちの一人でした。
彼女は利他的で寛容でした。そこでシャンパンと泡=輝きの香水を作りました。

またジョセフィン・ベーカーはすばらしい人々(remarquable people)でしたが、しかしみなさま、みなさまもまた注目すべき人々(remarquable people)です。全ての人々がその心髄で輝いている、だから全ての人々は驚くべき人々(remarquable people)です。だから自分自身の心髄を知る全ての人々のための香水、それは『REMARKABLE PEOPLE(非凡な人々)』です。

 

Memento Mori そして Bon voyage!

ここで。

だから私はしばしば
「エタ リーブル ド オランジェは肌につける詩の楽しいメゾンです」
と言います。

私たちはまず、香水のメゾンである前に詩のメゾンです。そして私たちは衝突を起こすために肌につける、期待と希望と人生の喜びのメゾンです。

みなさまは、私たちの人生にはとても悲劇的なことがあること知っています。それは、最後にはあらゆる人は死ぬということです。

では、旅の道のりの途中で、エタ リーブル ド オランジェは、強さであり、人生と新しい始まりの喜びです。
そして、香水は誰かに会うための美しい口実です。

私はエタ リーブル ド オランジェの素敵な住民が国民になってくれることと、みなさまが香水と共にする、人生の旅の道のりに於いて好運であることを祈ります。

どうもありがとう。

 

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参考サイト
https://global.canon/ja/technology/kids/history/06_isaac_newton.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/36/4/36_4_193/_pdf
https://jp.givaudan.com/fragrances
http://www.nichigetu-do.com/navi/text/BalletsRussesetlesjaponais/01/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A7%E7%A5%9E%E3%81%AE%E5%8D%88%E5%BE%8C_(%E3%83%90%E3%83%AC%E3%82%A8)
https://poesie.webnet.fr/lesgrandsclassiques/Poemes/victor_hugo/a_quoi_songeaient_les_deux_cavaliers

参考文献
「決定実験」と「実験による証明」アイザック・ニュートンが用いた二つの概念の比較/多久和理実

画像リンク
05 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A7%E7%A5%9E%E3%81%AE%E5%8D%88%E5%BE%8C_(%E3%83%90%E3%83%AC%E3%82%A8)#/media/File:Bakst_Nizhinsky.jpg
06 https://shop.r10s.jp/zabelbeauty/cabinet/04232869/imgrc0067894168.jpg
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Kuma